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今回は副甲状腺のお話をします。
先日健診で、血液中のカルシウム値が10.6mg/dL (正常は8-10mg/dL程度です) の方がおられました。2年前の健診でも血液中のカルシウム値はほぼ同じ程度でした。2年前の健診後、精密検査を受けたようですが、診断ははっきりしなかったようです。今回、当科を受診していただき、血液中のカルシウム値は10.6mg/dL、尿中のカルシウム値の増加、血液中のリン値の低下、尿中のリン値の増加、血液中の副甲状腺ホルモン値の上昇、頸部超音波検査で、左側上極の副甲状腺の腫大がみられ、副甲状腺腫瘍による副甲状腺機能亢進症と診断しました。今後、副甲状腺腫瘍の摘出術を予定しています。
副甲状腺は、甲状腺の裏側にある小さな米粒大の臓器で、左右、上下の合計4つあります。そこから、体の中のカルシウムのバランスを整える副甲状腺ホルモンを分泌し、骨や腎臓に働きかけ、血液中のカルシウム値を一定に保つ働きをします。なんらかの原因で副甲状腺ホルモンが高くなると、血液中のカルシウム値が上昇し、放置すれば腎臓結石や腎機能低下を来たします。逆に副甲状腺ホルモンが低下する、あるいは副甲状腺ホルモンの作用が低下する場合は、血液中のカルシウム値が低下し、しびれ感やテタニー、けいれんなどを来たします。
副甲状腺とは関係なく、種々の原因で、高カルシウム血症や低カルシウム血症が起こることもあります。いずれにせよ、血液中のカルシウム値が高値あるいは低値の場合は、放置することなく、必ず専門医を受診してください。
今後とも、病気に関するお話を取り上げますので、ご期待ください。
済生会今治第二病院
院長 松浦 文三