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先週、愛媛大学 産婦人科学の杉山隆教授が会長をされた第49回日本女性栄養・代謝学会学術集会において、私は「女性の肥満とやせと、健康と」についての教育講演を行いました。
若い女性のやせと肥満は、ともに近年増加傾向にあります。どちらも月経異常、不妊の原因になります。また、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症や胎児の発育障害、児の出生後の肥満やメタボの発症リスクになります。その他、若い女性のやせは、貧血や骨粗しょう症、髪質・肌質の低下、精神・身体活動の低下を来たします。特に若い女性は、欠食をなくしてバランスのよい栄養摂取を心がけて、適正体重の維持が重要です。
閉経後の女性は、女性ホルモンの低下、基礎代謝量の低下、日常活動量の減少などにより肥満になりがちです。日本においては、50歳以上の女性の25%が肥満ですし、肥満がなくても内臓肥満 (いわゆるかくれ肥満) は10%に見られます。是非、特定健診を受診されて、内臓肥満になっていないか、メタボの因子を持っていないかのチェックをしてください。もし特定健診で肥満や内臓肥満、メタボを指摘された場合は、糖尿病・内分泌の専門医に相談されることをお勧めします。
70歳以上の女性の肥満は無理に体重減量を行ってはいけません。高齢になると、通常でも筋肉量が減少していますので、無理に減量すると筋肉量まで減少してしまい、かえって糖尿病などのコントロールが不安定になることがあります。また減量に伴い骨塩量も減少しますので、筋肉量減少と相まって、転倒・骨折のリスクが高まります。
最後に、ライフコースをふまえて、男女を問わず、肥満とやせが気になる方は是非専門医の受診をお勧めします。
済生会今治第二病院
院長 松浦 文三