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今回は甲状腺健診のお話です。
原発事故後や頸部への放射線治療後には、甲状腺の機能異常や腫瘍が発症することがあります。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴い、福島第一原子力発電所の事故が起こりました。これを受けて、2012年度から福島県民を対象とした甲状腺健診が全国的に開始されました。
事故後、福島県内に留まった方は福島県立医科大学が甲状腺健診を実施しますが、県外へ避難された方は避難先の認定施設で甲状腺健診が実施されます。健診の対象者は、原発事故時に0歳から18歳であった方々であり、具体的には1992年4月2日から2011年4月1日までに生まれた方が該当します。健診は、最初の3年間で1回目を受診し、その後は20歳になるまでは2年に1回、20歳以降は5年に1回の頻度で実施されます。対象者の方には、福島県から個別に通知が届いているものと存じます。
愛媛県内には、福島県から避難された対象者が20-30名ほどおられます。当初は愛媛大学第三内科のみが健診実施機関でありましたが、このたび、済生会今治第二病院も新たに施認定として加わりました。福島県出身の健診対象者の方は、ぜひ甲状腺健診を受診ください。また当院では、甲状腺に関する一般診療も行っていますので、甲状腺に不安をお持ちの方はいつでもご相談ください。
当院は医療と福祉の提供をその理念としており、今回の「福島県民健康調査甲状腺健診」もその一つと認識し、認定施設の申請を行いました。
済生会今治第二病院
院長 松浦 文三
【甲状腺腫瘍の超音波画像】