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日本における「甲状腺眼症」の年間の発症率は、人口10万人あたり約7人です。「甲状腺眼症」とは、甲状腺の病気に関連して、目の周囲の組織に炎症が起きる眼疾患です。主な症状には、まぶたの腫れや赤み、眼球突出、目が乾く、充血、物が二重に見える(複視)、視力低下などがあります。バセドウ病に伴って起こることが多いですが、バセドウ病に先行して起こることも、バセドウ病の治療中に起こることもありますし、まれに橋本病に伴って起こることもあります。
原因は、甲状腺に関連する自己免疫異常で、眼球周囲の脂肪組織や筋肉が攻撃されて炎症が起こります。
治療は、活動性の炎症期では、炎症を抑えるために、ステロイドの全身投与や眼の奥に放射線治療などを行います。2024年11月から、炎症による脂肪組織の増加や筋肉の肥大化を押さえるお薬(テプロツムマブ)が保険で使用できるようになりました。炎症が落ち着いた後に眼球突出や複視などの症状が残っていると手術を行います。
早期に適切な治療を開始することで、眼の症状の悪化を防ぐことができます。疑わしい場合は甲状腺専門医を受診してください。
済生会今治第二病院
院長 松浦 文三
