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呼吸器外科
診療科の紹介
特徴
呼吸器外科とは気管、気管支、肺、胸膜など「胸部の手術」を行う診療科です。
単に「外科」と称する診療科とは対象臓器が異なり、近年の手術技術の進歩、細分化により呼吸器外科手術には消化器外科、一般外科手術とは異なる知識や技術が求められます。
専門医制度においても「呼吸器外科専門医」として認定制度が設定されています。
当院は呼吸器外科専門医制度の施設認定を受けており、呼吸器外科専門医が常駐しています。
対象疾患
現代においては、呼吸器外科では肺がんがおもな治療対象です。
平成の初めごろに胸腔鏡と呼ばれるカメラが登場してからは、開胸手術を行うことは少なくなり、近年では胸腔鏡手術と呼ばれる、3cm位の傷を1-3か所つけての手術が主に行われています。
胸腔鏡手術では術者は当然ですが、助手にも開胸手術とは異なる技術と技量が求められます。そのため、日常手術においても定期的に愛媛大学病院、四国がんセンターなどと意見交換を行い、手術スタッフとして人材交流を行うなど緊密に連携をとっています。これにより上記施設と同じ手術を行うことが可能です。
済生会今治病院では、手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を導入しており、現在は主に泌尿器科領域での手術に使用されており、稼働は週に1件(5~6時間程度)程となっております。
呼吸器外科領域においても、2024年6月より「hinotori」が保険適用となり、全国的に急速な普及が進んでいます。別機種である「da Vinci」は2018年からすでに保険適用されており、全国での呼吸器外科ロボット支援手術の年間実施件数は約7,000件に達しており、一般的な術式として確立されつつあります。
当科においても、担当医師がロボット手術の実施資格(certificate)を取得するなど、導入に向けた準備を積極的に進めてまいりました。
現在、当院に対して肺がんに対するロボット支援手術の導入を要望しているところであり、現時点では導入日を明確にお伝えできる状態ではありませんが、承認が得られ次第、速やかに導入を進める予定です。
ロボット手術をご希望の患者様にはご不便をおかけいたしますが、今後の進展があり次第、当ホームページ等を通じてご案内申し上げます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
なお、2025年7月より、愛媛大学呼吸器外科学前教授であり、現在は南松山病院呼吸器センター長を務めておられる佐野由文先生に、毎週水曜日の診療支援を賜っております。これにより、当科における手術の質のさらなる向上を図っております。
心臓疾患を合併している肺癌、結核など炎症性疾患の外科治療などの特殊な場合には、循環器内科、呼吸器内科、心臓血管外科と協力し、手術を行っています。
実績
当院では年間100件程度の呼吸器外科手術を行っていますが、その9割以上が胸腔鏡手術です。
気胸においては「unipotal VATS」と呼ばれる3cmの大きさの傷一つでの手術を行っています。
また標準的な胸腔鏡下肺がん手術では、手術時間3時間程度、入院期間も術後5-8日程度になるように努めています。これは全国的に見ても標準的な数字であると考えています。
学会や研究会においても自ら演題発表を行い、他施設の手術からも学び、全国的に標準とされる呼吸器外科手術を行うように日夜研鑽しています。
資格医師
日本外科学会
指導医 松田
専門医 松田、佐藤
日本呼吸器外科学会
呼吸器外科専門医 松田
肺がんCT検診認定機構
肺がんCT検診認定医 松田
日本がん検診・診断学会
認定医 松田
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
認定医 松田
日本旅行医学会
認定医 松田
専門外来
毎週火曜日、金曜日(9時~、予約制)
実績
令和5年度に行ったもので、良性・悪性の両方を含みます。
部位 | 全症例 | 内、鏡視下手術症例 | |
---|---|---|---|
肺 | 良性肺腫瘍 | 1 | 103 |
原発性悪性肺腫瘍 | 68 | ||
転移性肺腫瘍 | 10 | ||
胸膜腫瘍 | 7 | ||
縦隔腫瘍 | 6 | ||
非腫瘍性良性疾患(気胸) | 16 | ||
非腫瘍性良性疾患(その他) | 14 | ||
総計 | 122 | 103 |