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特集 腰痛を知り、予防しよう

印刷ページ表示 更新日:2025年3月10日更新

腰痛のギモンに答えます!

担当医師
髙杉 茂樹​(タカスギ シゲキ)
済生会今治病院 整形外科部長

院外誌きぼう(2022年11月) 第76号 特集ページより抜粋

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ひと言で「腰が痛い」と言っても、その要因にはさまざまなものがあります。
また年齢ごとに要因の傾向があり、痛みの症状や注意すべき点も異なります。
ここでは整形外科医が、腰痛に関する疑問についてお答えします。
腰痛について知ることで、痛みと不安を取り除きましょう。

【注釈】
当院の整形外科は紹介制となっており、他の医療機関で治療できない方や、判断がつかなかった方が来られます。
腰痛で医師の診断をご希望の方は、まずはお近くの整形外科を受診してください。

 

Q 腰痛にはどんな種類があるの?

A 腰痛は年齢で分かれます

腰痛はだいたい、3つの年齢区分で分かれる傾向があります。

一つ目は、40代までの方に多く見られる椎間板ヘルニアです。腰の骨と骨の間には椎間板というものがあり、患者さまには「大福もちをイメージしてください」と言っています。大福もちの中のあんこに当たるのが、髄核というドロドロしたものです。この大福もちに強い圧力などが加わると、あんこ、つまり髄核が中から飛び出して、ヘルニアになってしまいます。そして、出てきた髄核が周りの神経に当たることで、強い痛みが出ます。いわゆる「ぎっくり腰」も、多くは椎間板が傷つくことで起こります。

50代以上の方に多いのが、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)です。腰の骨には、前の方に椎間板があって、真ん中に神経が通っています。そして後ろでは斜めに骨がかみ合うようになっている関節があります。加齢などで椎間板がすり減ると、関節のかみ合いがおかしくなって膨れてきます。そして、脊柱管が狭くなり、近くを通る神経を圧迫するようになります。

もっと高齢になると、今度は骨粗しょう症圧迫骨折が増えます。必ずしも転んだり倒れたりしてなったわけではなく、ちょっと重いものを持ったとか、かがんで草刈りを30分以上したとか、そういった生活の中で負担がかかったときに起こる方は多いですね。

もちろん、これはあくまで傾向なので、例外もあります。気を付けなければいけないのが、病気に伴う腰痛です。特に大動脈瘤や動脈解離による腰痛は、見逃すと命にかかわりますし、整形外科では治療ができないので、早期に専門の診療科を受診しなければいけません。こういったケースは、安静時にも痛みが強く出ます。気になる方は、早めの受診を心がけてください。

年齢別 腰痛の症例

●10代~40代
 椎間板ヘルニアなど

●50代~高齢者
 脊柱管狭窄症

●高齢者
 骨粗しょう症、圧迫骨折

椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症の違い

■脊柱管狭窄症

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腰の骨が変形して神経を圧迫するようになり痛みが出る

 

■椎間板ヘルニア

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椎間板の中の髄核が飛び出てきて神経に当たり痛みが出る

 

Q 症状に違いはありますか?

A 痛みの出方など、違いはあります​

椎間板ヘルニアなどの椎間板関連はまず、体が硬くなり、前かがみができなくなります。椎間板が原因でなることが多いぎっくり腰の場合だと、体が固まって動けなくなってしまいます。一方で脊柱管狭窄症の場合は、柔軟性を保つことができる方がほとんどです。

また、椎間板ヘルニアはずっと痛みが出ることが多いのですが、脊柱管狭窄症は痛みに波があります。長く立っていたり歩いたりすると痛みが出て、休むと治まります。朝起きてすぐも痛くなるようです。

症状の違いから症例を判断するためにも、患者さまに話していただく内容が大切になります。基本的には、発症時期、症状の推移、そして特別なきっかけがあったかどうかがポイントになってきますので、医師に話す際もそのあたりを意識してお話しいただければと思います。

 

Q 日常生活で気を付けることは?

A 早めの休養と日ごろの姿勢​

軽い腰痛の段階で治してしまうことです。例えばぎっくり腰には予感がある人が多いので、「ここで無理をすると痛みが来るぞ」と感じたら動きを止め、できるだけ横になって休むようにしましょう。

休んで良くなっても、もう2、3日は、おとなしくしてください。例えば傷ができたときも、血が止まったからと言って治ったわけではなく、動けばすぐに傷口が開いてしまいますよね。それと同じで、腰の痛みも治り切るまでには時間がかかります。

姿勢も大事です。椎間板が悪い人は、前かがみになると痛みが強く出ます。しかも、腰をかけた状態で前かがみになる姿勢が最も良くないので、デスクワークの方などには両手を机の上について上半身を支えてくださいと言います。

脊柱管狭窄症は真逆です。後ろ側の関節のかみ合いが深くなって症状が出てしまうので、体をそらしたら後ろが狭くなり、痛みがひどくなってしまいます。ですので、背伸びや、うつ伏せで寝ることは避けましょう。良い姿勢を保つことも大切ですが、なるべく痛みが出てしまう悪い姿勢を避けることが大事です。

これから寒くなり、血管が縮むと、十分な血液が流れなくなるので、痛みが増してしまいます。お風呂に入ったり温湿布を貼ったりして血流を良くしてください。

歩くなど、軽い運動をすることも血流改善につながります。脊柱管狭窄症の方は痛みが出るので長く連続で歩けないと思います。自転車だと、腰かけられるため移動が歩くより楽だと言う方は多いです。

 

【重い物を持ったときに「痛くなりそうな予感」があれば、すぐに休みましょう】

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【脊柱管狭窄症の方が運動をする場合は、自転車だと痛みが出にくいのでおすすめです】

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